雨漏りやエアコンの故障。誰が直し、誰が払うのか。民法606条から608条までが、この日常的な疑問に答えを用意しています。
先生、お部屋の給湯器が壊れたら…どうなるのぉ?
賃貸人には修繕義務があるわ (民法606条1項)。
使用収益に必要な修繕は貸主の負担。
ただし賃借人の責めに帰すべき事由で壊れたときは、この義務はありません。
あたしがラケット振り回して壊したら、自腹ってことね…気をつけよ。
先生、逆に賃貸人が修繕したいと言ってきたら、賃借人は拒めますか。
拒めません (606条2項)。
保存に必要な行為なら、多少の不便があっても受け入れる必要があるの。
でも…連絡しても大家さんが動いてくれなかったら、ずっと水が出ないままなの?
そこで民法607条の2。
①賃借人が修繕の必要を通知したのに、賃貸人が相当の期間内に修繕をしないとき、②急迫の事情があるとき——この2つの場合は賃借人が自ら修繕できます。
①は通知が前提。
②は通知の暇もない緊急時、という切り分けですね。
そう。
いきなり勝手に工事してよいわけではない、というのが試験のひっかけどころよ。
要は、まず声をかける。
それでも動かないなら自分でやる。
試合と一緒じゃん?
ジャスミンちゃん、その例え今回ちょっと分かりやすいかも…えへへ。
では立て替えたお金の話。必要費——修繕など物の保存に必要な費用は、支出した後に直ちに償還請求できます (608条1項)。
有益費は扱いが違いましたよね。
ええ。
価値を高める費用は、賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する限度で償還請求できます (608条2項)。
タイミングが違うのがポイント。
壊れたのを直すのは今すぐ、良くしたのは出ていくとき。
ふーん、分かった気がする!
いい整理ね。
しかも有益費は「増加が現存する」ことが条件。
退去時に価値が残っていなければ請求できないの。
ここは絶対に落とせないわ。
確認クイズ
賃貸人の義務および費用の償還に関する記述として、正しいものはどれか。
- 賃借人は、修繕が必要であることを賃貸人に通知しなくても、常に自ら修繕することができる。
- 賃借人が支出した必要費は、賃貸借の終了時にのみ償還を請求することができる。
- 賃借人が支出した有益費は、賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する場合に限り償還を請求できる。
- 賃貸人が建物の保存に必要な行為をしようとする場合、賃借人はこれを拒むことができる。
こたえを見る
正解: 3. 賃借人が支出した有益費は、賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する場合に限り償還を請求できる。
民法608条2項のとおり、有益費は賃貸借の終了時に、価格の増加が現存する場合に限り償還請求できるため選択肢3が正しい記述です。選択肢1は誤りで、賃借人が自ら修繕できるのは通知したのに賃貸人が相当期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときに限られます (607条の2)。選択肢2も誤りで、必要費は支出後直ちに償還請求できます (608条1項)。選択肢4も誤りで、賃借人は賃貸人の保存行為を拒むことができません (606条2項)。