借りる側の義務を一覧できると、原状回復や賃料トラブルの見通しが一気によくなります。改正民法で新しくなった論点も含めて整理しましょう。
今日は借りる側。
まず柱は賃料支払義務。
ほかに何があると思う?
善管注意義務と用法遵守義務です。
契約や物の性質で定まった用法に従って使う必要があります。
住居として借りた部屋でラーメン屋を開いたらアウト、みたいな?
極端だけど正しいわ。
用法違反は解除に直結し得ます。
あと…通知義務もあるって聞いたけど、何を伝えるの?
民法615条。
賃借物が修繕を要するとき、または賃借物について権利を主張する者があるときは、遅滞なく賃貸人に通知しなければなりません。
ただし賃貸人が既に知っているときは不要よ。
先生、この通知義務は前回の607条の2ともつながりますね。
通知が自力修繕の前提でした。
よく気づいたわね。
条文どうしを線で結べる人は強いわ。
…ちょっと待って。
もし台風で部屋の一部が壊れて使えなくなったら? 家賃は満額?
それが民法611条1項。
賃借人の責めに帰することができない事由で一部が使用収益できなくなったら、賃料はその割合に応じて当然に減額されます。
請求を待たずに、当然にね。
…え、お願いしなくても勝手に下がるの?
ええ。
改正前は「減額を請求できる」だったのが、改正で当然減額に変わったの。
ここは頻出。
では、残った部分だけでは住めないほど壊れたときは。
611条2項。
残存部分では賃借の目的を達することができないときは、賃借人は契約を解除できます。
住めない部屋の家賃を払い続けなくていいってことか。
よかった…。
最後に契約終了時。原状回復義務を負いますが、通常損耗と経年変化は含まれません (民法621条)。
付属させた物の収去義務も併せて確認して。
確認クイズ
賃借人の義務等に関する記述として、正しいものはどれか。
- 賃借人の責めに帰することができない事由により賃借物の一部が使用収益できなくなった場合、賃料は賃借人が減額請求をして初めて減額される。
- 賃借人の責めに帰することができない事由により賃借物の一部が使用収益できなくなった場合、賃料は使用収益できなくなった部分の割合に応じて当然に減額される。
- 賃貸借終了時の原状回復義務には、通常の使用収益によって生じた損耗も含まれる。
- 賃借物が修繕を要する場合であっても、賃借人が賃貸人に通知する義務はない。
こたえを見る
正解: 2. 賃借人の責めに帰することができない事由により賃借物の一部が使用収益できなくなった場合、賃料は使用収益できなくなった部分の割合に応じて当然に減額される。
民法611条1項により、賃借人の帰責事由によらずに一部が使用収益できなくなった場合、賃料は当然に減額されるため選択肢2が正しい記述です。選択肢1は改正前の「減額請求」の考え方であり、現行法では誤りです。選択肢3は誤りで、通常損耗および経年変化は原状回復義務の対象外です (621条)。選択肢4も誤りで、賃借人は遅滞なく通知する義務を負います (615条)。