「契約書にハンコを押した瞬間に契約が成立する」——実はこれ、法律上は正しくありません。第5章の入口として、契約がいつ・どうやって生まれるのかを確認します。
今日から賃貸借契約そのものを扱っていくわ。
まずは民法601条。
「当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約する」——これで効力が生じます。
えーっ! 約束しただけで? 契約書は?
必要ないの。
合意だけで成立する契約を諾成契約というわ。
書面は成立要件ではなく、あくまで証拠。
ここは試験で狙われます。
つまり、口約束でも法的には有効に成立している——という理解で合っていますか。
そのとおり。
だからこそ後で「言った・言わない」で揉めないよう、実務では必ず書面を作るのよ。
法律の要請ではなく実務の知恵ね。
うぅ〜ん…じゃあ、お友達に部屋をタダで貸したら、それも賃貸借?
いい質問。
賃料をとらないなら使用貸借よ。
賃貸借は有償・双務・継続的契約。
使用貸借は無償だから、借地借家法の保護も及ばないの。
保護の厚さが根本から違うわけですね。
ましろちゃん、そこは大きな分かれ道だよ。
えへへ、タダより高いものはない、ってこういうこと…?
ましろちゃん、それ言い回しが渋すぎ! …で、期間って何年まで決められるの?
民法604条の原則は上限50年。
でも建物賃貸借は借地借家法29条2項で民法604条を適用しないと定めているから、上限はないの。
100年でも構わない。
先生、下限はどうなりますか。
極端に短い期間も自由でしょうか。
そこが借地借家法29条1項。
期間を1年未満とした建物賃貸借は期間の定めがない建物賃貸借とみなされます。
半年契約は「半年で終わり」にならないの。
マジで!? 短くしたのに、逆に終わりが見えなくなるってこと?
ええ。
ただし定期建物賃貸借は例外で、1年未満でもその期間どおりに終わります。
この例外はセットで覚えて。
普通の契約は借りる人を守る方に転ぶ…そういう「くせ」があるんだね。
確認クイズ
建物賃貸借契約に関する記述として、正しいものはどれか。
- 賃貸借契約は、契約書を作成して初めて成立する。
- 建物賃貸借の存続期間は、民法604条により50年が上限である。
- 期間を6か月と定めた建物賃貸借 (定期建物賃貸借を除く) は、期間の定めがない賃貸借とみなされる。
- 無償で建物を貸す使用貸借にも、借地借家法が適用される。
こたえを見る
正解: 3. 期間を6か月と定めた建物賃貸借 (定期建物賃貸借を除く) は、期間の定めがない賃貸借とみなされる。
借地借家法29条1項により、期間を1年未満とする建物の賃貸借は期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます (定期建物賃貸借を除く)。選択肢1は誤りで、賃貸借は諾成契約であり書面は成立要件ではありません。選択肢2も誤りで、借地借家法29条2項により建物賃貸借には民法604条が適用されず、期間の上限はありません。選択肢4は誤りで、使用貸借に借地借家法は適用されません。