契約の更新と法定更新 — 1年前から6か月前までの通知

期間が満了しても、建物賃貸借は自動的には終わりません。借地借家法26条の法定更新の要件と、更新後は「期間の定めがない」となる点を押さえます。

編集・検証: 賃貸不動産経営管理士スタディ編集部 公式情報: 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会 制作・検証方針

第5章の最重要論点のひとつです。数字と、更新後の契約がどうなるかを正確に。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

2年契約が満了したら、部屋を出ていかなければならない——正しいと思う?

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

え、契約書に2年って書いてあるなら、そうじゃないの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

それが違うのよ。
借地借家法26条1項の法定更新。
当事者が期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶等の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされます。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

「1年前から6か月前まで」——この期間の外で通知したら効力はどうなりますか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

1年より前の通知は早すぎて効力を生じないと解されます。
うっかり出し忘れるより、早く出しすぎる失敗も起こり得るの。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

むむむ…期間がぴったり決まってるんだね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そしてここが最大の落とし穴。
更新されると期間の定めがない契約になるの。
「同一の条件で」とあるけれど、期間だけは引き継がれません。

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

マジで!? 2年契約が更新されても、また2年じゃないんだ!

深見 つむぎ(退屈) 深見 つむぎ

…あ、それ私も確認しようとしていました。
26条1項ただし書ですね。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

ふふ。
さて、もうひとつの法定更新が26条2項。
更新拒絶の通知をしていても、期間満了後に賃借人が使用を継続し、賃貸人が遅滞なく異議を述べなければ、やはり更新したものとみなされます。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

通知したのに油断したら振り出しに戻るってこと? 大家さん大変じゃん…。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そう。
しかも賃貸人からの更新拒絶には正当事由も必要。
次回そこを扱うわ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

当事者が話し合って更新する合意更新なら、新しい期間も自由に決められますね。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。
実務ではほとんどが合意更新。
法定更新は「話がまとまらなかったときの受け皿」よ。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

更新料って…払わなきゃいけないものなのかなぁ。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

更新料は法律上当然に発生するものではなく、特約があって初めて生じるわ。
判例は、額が高すぎるなどの事情がない限り、明確に合意された更新料特約を有効としています。

確認クイズ

期間を2年とする建物賃貸借 (定期建物賃貸借ではない) の更新に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 賃貸人が期間満了の3か月前に更新拒絶の通知をすれば、借地借家法26条1項の通知として有効である。
  2. 法定更新された場合、従前と同一の2年間の期間で更新されたものとみなされる。
  3. 法定更新された場合、更新後の契約は期間の定めがないものとなる。
  4. 賃貸人が期間満了の8か月前に更新拒絶の通知をすれば、正当事由がなくても契約は当然に終了する。
こたえを見る

正解: 3. 法定更新された場合、更新後の契約は期間の定めがないものとなる。

借地借家法26条1項ただし書により、法定更新後の契約は期間の定めがないものとなるため選択肢3が正しい記述です。選択肢1は誤りで、通知は期間満了の1年前から6か月前までの間にしなければなりません。選択肢2も同ただし書に反するため誤りです。選択肢4も誤りで、賃貸人からの更新拒絶には正当事由が必要です (28条)。

香月リサ先生、戸倉ジャスミンが川沿いをサイクリングを楽しむ様子

🔖 この記事の関連書籍

Amazonアソシエイトリンクを含みます。他分野は おすすめ書籍ページ へ。