第6章の最後は、契約を支える人の問題です。保証人はどこまで責任を負い、賃借人の死亡で賃借権はどこへ行くのでしょうか。
賃貸借の連帯保証は、将来発生する不特定の債務をまとめて保証するもの。
個人がこれを引き受けると個人根保証契約になります。
先生、そこには極度額の定めが必要ですね。
極度額を定めなければ、効力を生じない。
そのとおりよ。
民法465条の2ね。極度額を定めなければ無効で、しかもその定めは書面——電磁的記録を含む——によらなければなりません。
極度額って、上限ってこと? 「ここまでしか払いません」って線を引くの?
うぅ〜ん…でも、上限がなかったら大変だよね。
滞納がどこまでも積み上がって、保証人さんが全部かぶることになっちゃう。
まさにそれを防ぐための改正なの。
だから「家賃の○か月分」のように上限を明示する。
書面に極度額がなければ、その保証はそもそも効力を持たない。
保証人が主債務者の状況を知る手段も用意されていますよね。
委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は遅滞なく履行状況の情報を提供しなければならない、と。
民法458条の2ね。
滞納が続いていないか、保証人は問い合わせることができる。
責任を負う以上、情報も得られるべきという考え方よ。
ちなみにさ、保証人さんが亡くなっちゃったらどうなるの? そのご家族が、そのまま保証人を引き継ぐ?
いい質問。元本確定という仕組みがあって、主債務者または保証人の死亡は元本の確定事由。
死亡した時点で保証する元本が固まり、その後に発生する新しい賃料までは及びません。
相続人が引き継ぐのは、確定したその元本の範囲だけ。
では次。賃借人が亡くなった場合、部屋はどうなると思う?
え、契約終了で退去…じゃないの?
いえ、賃借権は相続の対象です。
相続人に承継されます。
賃貸人が当然に契約を終わらせられるわけではありません。
つむぎさんが正しいわ。
賃借権は財産権だから相続される。
では、内縁の配偶者のように相続人ではない同居者がいた場合は?
…そこが心配。
ずっと一緒に暮らしてきたのに、追い出されちゃうの?
守られています。
相続人がいる場合、内縁の配偶者等は相続人の賃借権を援用して居住を続けられる。
そして相続人がいない場合には借地借家法36条の出番で、事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者が、賃借人の権利義務を承継します。
ただし承継を望まないこともあるわね。
その場合は、賃借人が相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思を表示すれば、承継しません。
自動的に引き継ぐけど、いらないなら1か月以内に断れる、と。
…なんか、ちゃんと考えられてるんだね。
確認クイズ
保証および賃借権の相続に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 個人が賃貸借の連帯保証人となる場合、極度額を書面で定めなければ、その保証契約は効力を生じない。
- 保証人が死亡した場合、主たる債務の元本は確定する。
- 賃借人が死亡した場合、賃借権は相続の対象とならず、賃貸借契約は当然に終了する。
- 居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合、事実上夫婦と同様の関係にあった同居者は、賃借人の権利義務を承継する。
こたえを見る
正解: 3. 賃借人が死亡した場合、賃借権は相続の対象とならず、賃貸借契約は当然に終了する。
誤っているのは選択肢3です。賃借権は財産権として相続の対象となり、相続人に承継されます。賃借人の死亡によって契約が当然に終了することはありません。選択肢1は民法465条の2、選択肢2は元本確定事由、選択肢4は借地借家法36条のとおりで、いずれも正しい記述です。なお選択肢4の同居者は、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思を表示すれば承継しません。