保証と賃借権の相続 — 極度額のない個人根保証は無効

賃貸借の連帯保証は、個人が保証人になる場合、書面で極度額を定めなければ効力を生じません。あわせて、賃借人が亡くなったとき部屋がどうなるのかを整理します。

編集・検証: 賃貸不動産経営管理士スタディ編集部 公式情報: 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会 制作・検証方針

第6章の最後は、契約を支える人の問題です。保証人はどこまで責任を負い、賃借人の死亡で賃借権はどこへ行くのでしょうか。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

賃貸借の連帯保証は、将来発生する不特定の債務をまとめて保証するもの。
個人がこれを引き受けると個人根保証契約になります。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

先生、そこには極度額の定めが必要ですね。
極度額を定めなければ、効力を生じない。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおりよ。
民法465条の2ね。極度額を定めなければ無効で、しかもその定めは書面——電磁的記録を含む——によらなければなりません。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

極度額って、上限ってこと? 「ここまでしか払いません」って線を引くの?

雪村 ましろ(しょんぼり) 雪村 ましろ

うぅ〜ん…でも、上限がなかったら大変だよね。
滞納がどこまでも積み上がって、保証人さんが全部かぶることになっちゃう。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

まさにそれを防ぐための改正なの。
だから「家賃の○か月分」のように上限を明示する。
書面に極度額がなければ、その保証はそもそも効力を持たない。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

保証人が主債務者の状況を知る手段も用意されていますよね。
委託を受けた保証人から請求があれば、債権者は遅滞なく履行状況の情報を提供しなければならない、と。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

民法458条の2ね。
滞納が続いていないか、保証人は問い合わせることができる。
責任を負う以上、情報も得られるべきという考え方よ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

ちなみにさ、保証人さんが亡くなっちゃったらどうなるの? そのご家族が、そのまま保証人を引き継ぐ?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

いい質問。元本確定という仕組みがあって、主債務者または保証人の死亡は元本の確定事由。
死亡した時点で保証する元本が固まり、その後に発生する新しい賃料までは及びません。
相続人が引き継ぐのは、確定したその元本の範囲だけ。

では次。賃借人が亡くなった場合、部屋はどうなると思う?

戸倉 ジャスミン(びっくり) 戸倉 ジャスミン

え、契約終了で退去…じゃないの?

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

いえ、賃借権は相続の対象です。
相続人に承継されます。
賃貸人が当然に契約を終わらせられるわけではありません。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

つむぎさんが正しいわ。
賃借権は財産権だから相続される。
では、内縁の配偶者のように相続人ではない同居者がいた場合は?

雪村 ましろ(うるうる) 雪村 ましろ

…そこが心配。
ずっと一緒に暮らしてきたのに、追い出されちゃうの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

守られています。
相続人がいる場合、内縁の配偶者等は相続人の賃借権を援用して居住を続けられる。
そして相続人がいない場合には借地借家法36条の出番で、事実上夫婦または養親子と同様の関係にあった同居者が、賃借人の権利義務を承継します。

ただし承継を望まないこともあるわね。
その場合は、賃借人が相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思を表示すれば、承継しません。

戸倉 ジャスミン(笑顔) 戸倉 ジャスミン

自動的に引き継ぐけど、いらないなら1か月以内に断れる、と。
…なんか、ちゃんと考えられてるんだね。

確認クイズ

保証および賃借権の相続に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 個人が賃貸借の連帯保証人となる場合、極度額を書面で定めなければ、その保証契約は効力を生じない。
  2. 保証人が死亡した場合、主たる債務の元本は確定する。
  3. 賃借人が死亡した場合、賃借権は相続の対象とならず、賃貸借契約は当然に終了する。
  4. 居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合、事実上夫婦と同様の関係にあった同居者は、賃借人の権利義務を承継する。
こたえを見る

正解: 3. 賃借人が死亡した場合、賃借権は相続の対象とならず、賃貸借契約は当然に終了する。

誤っているのは選択肢3です。賃借権は財産権として相続の対象となり、相続人に承継されます。賃借人の死亡によって契約が当然に終了することはありません。選択肢1は民法465条の2、選択肢2は元本確定事由、選択肢4は借地借家法36条のとおりで、いずれも正しい記述です。なお選択肢4の同居者は、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思を表示すれば承継しません。

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