滞納への法的手続と強制執行

催告と解除から、支払督促・少額訴訟・通常訴訟・民事調停まで。60万円以下という少額訴訟の枠と、明渡しに不可欠な強制執行の流れを整理します。

編集・検証: 賃貸不動産経営管理士スタディ編集部 公式情報: 一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会 制作・検証方針

任意の督促で解決しないとき、法は複数の道を用意しています。支払督促、少額訴訟、通常訴訟、民事調停。そして明渡しと強制執行までの流れを追います。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

督促しても払われない。
次は法的手続よ。
まず出発点は、内容証明郵便で相当の期間を定めて催告し、それでも履行がなければ契約解除の意思表示をする——ここは押さえてね。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

補足すると、解除には信頼関係の破壊が必要とされていますよね。
1か月の滞納で即解除、とはいかないはずです。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

そのとおり。信頼関係破壊の法理ね。
一般には3か月程度の賃料滞納が、解除が認められるかどうかの一つの目安とされているわ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

よっしゃ、じゃあ3か月たったら裁判! …で、裁判って一種類じゃないの?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

いくつもあるのよ。
まず支払督促。
簡易裁判所の書記官に申し立てる手続で、相手方の言い分を聞かずに支払を命じてくれる。
安くて早いのが利点ね。

雪村 ましろ(びっくり) 雪村 ましろ

相手の話を聞かないで決まっちゃうの…? それはさすがに、相手にも言い分があるんじゃ…

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

だから逃げ道が用意されているの。
相手方が2週間以内に督促異議を述べれば、事件は通常訴訟に移行するわ。
異議が出れば、結局きちんと審理されるのよ。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

もう一つ、少額訴訟という選択肢もありますね。
金額が小さい場合の簡易な手続だと聞きました。

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

60万円以下の金銭の支払を求める場合に使えて、原則として1回の期日で審理を終えて判決が出る。
ただし同一の簡易裁判所で年10回までという制限があるわ。

戸倉 ジャスミン(普段) 戸倉 ジャスミン

60万円以下。
……あれ、じゃあ『出ていってもらう』のは少額訴訟でできないよね? お金じゃないもん。

香月 リサ 先生(笑顔) 香月 リサ 先生

よく踏み込んだわね。
少額訴訟は金銭の支払請求専用。
建物の明渡しを求めるなら、建物明渡請求訴訟という通常の訴訟を起こすことになるの。
話合いで解決を図る民事調停という道もあるわ。

雪村 ましろ(普段) 雪村 ましろ

判決が出たら、その日から入れ替わりで出ていってくれる…わけじゃないんだよね?

香月 リサ 先生(普段) 香月 リサ 先生

残念ながらね。
判決が出ても、任意に出ていかなければ強制執行——明渡しの断行を裁判所に申し立てることになる。
執行官が現場で明渡しを実施するのよ。
ここでも、勝訴判決があっても自分で追い出すことはできない。

深見 つむぎ(普段) 深見 つむぎ

解除から明渡しの完了まで、時間もお金もかかる。
だからこそ前の記事の『早期発見・早期着手』が効いてくるんですね。

確認クイズ

少額訴訟に関する記述として、正しいものはどれか。

  1. 請求額が100万円以下の金銭の支払を求める場合に利用できる
  2. 60万円以下の金銭の支払を求める場合に利用でき、原則として1回の期日で審理を終えて判決が言い渡される
  3. 建物の明渡しを求める請求についても利用することができる
  4. 同一の簡易裁判所における年間の利用回数に制限はない
こたえを見る

正解: 2. 60万円以下の金銭の支払を求める場合に利用でき、原則として1回の期日で審理を終えて判決が言い渡される

少額訴訟は60万円以下の金銭の支払請求に限って利用でき、原則として1回の期日で審理を終えます。選択肢1は金額が誤りです。選択肢3は誤りで、少額訴訟は金銭の支払請求専用であり、建物明渡請求には利用できません。選択肢4も誤りで、同一の簡易裁判所での利用は年10回までに制限されています。

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