「連帯保証人がいません」という入居希望者は珍しくありません。その受け皿として広がった家賃債務保証と、個人保証に課された極度額のルールを比べます。
昔は入居のとき、親戚に頭を下げて連帯保証人になってもらうのが当たり前だった。
でも今は家賃債務保証会社を使う契約がとても増えているの。
ふぇぇ〜、保証人がいなくても借りられるようになったのは、うれしい話だと思う…けど、仕組みがよくわからない…
順番に見ましょうか。
まず賃借人が保証会社と保証委託契約を結んで、保証料を払う。
保証会社は賃貸人に対して、賃借人の賃料債務を保証する。
この三角形ね。
ちょっと待って。
賃借人がお金を払って、保証会社が大家さんに保証する? 契約する相手と、守ってあげる相手が違うじゃん。
そこがこの仕組みの肝ですね。
滞納が起きると保証会社が賃貸人に立て替えて支払う——代位弁済。
そのあと保証会社は賃借人に請求する、と。
ええ。
代位弁済のあとは賃借人に求償するの。
だから賃借人にとっては『払わなくてよくなった』のではなく、請求元が保証会社に変わっただけ。
ここを勘違いする入居者は本当に多いわ。
借金が消えたわけじゃないんだ…。
相手が変わっただけ、なんだね。
そう。
では比較として、個人の連帯保証人。
こちらは民法が2020年施行の改正で大きく変わったの。
個人が保証人になる根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない(民法465条の2)。
賃貸借の保証は、将来発生する不特定の債務を保証するので根保証にあたる。
だから賃貸借契約書に「極度額◯◯円」と書かれているんですね。
ふふ、よく繋がったわね。
上限を示さずに『いくらでも払え』とは言えない、という趣旨よ。
なお、この極度額のルールは個人の根保証についてのもの。
保証会社は法人だから対象外なの。
保証会社なら上限なし、個人なら上限あり。
……なんか、プロは覚悟して受けてるってことか。
いい言い方ね。
最後にひとつ。
国土交通省の家賃債務保証業者登録制度があるけれど、これは任意の登録制度。
登録しなければ営業できない、という許可制ではないの。
ここは引っかけやすいから注意して。
任意なのに、わざわざ登録するのはどうして…? あ、そうか。
登録していること自体が『ちゃんとやってます』の印になるんだ。
そういうこと。
それに加えて、2025年10月1日からは、住宅セーフティネット法にもとづく認定家賃債務保証業者の制度も始まったわ。
高齢者など住宅確保要配慮者が利用しやすい保証業者を、国土交通大臣が認定するの。
こちらも、認定を受けなければ営業できないという制度ではないわ。
告示にもとづく任意の登録と、法律にもとづく認定。
名前の似た二つの制度を、区別して押さえておきます。
確認クイズ
賃貸借契約の保証に関する記述として、正しいものはどれか。
- 個人が賃借人の連帯保証人となる場合、極度額を定める必要はない
- 個人が賃借人の連帯保証人となる根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない
- 法人である家賃債務保証会社が保証する場合にも、極度額の定めがなければ保証は無効となる
- 家賃債務保証業を営むには、国土交通省への登録が法律上義務づけられている
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正解: 2. 個人が賃借人の連帯保証人となる根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない
民法465条の2により、個人が保証人となる根保証契約は極度額を定めなければ効力を生じません。したがって選択肢2が正しく、選択肢1は誤りです。選択肢3は誤りで、この規律は個人根保証を対象とするため、法人である保証会社には適用されません。選択肢4も誤りで、家賃債務保証業者登録制度は任意の登録制度です。