ルールを破ったらどうなるのか。そして、なぜ「家賃保証」という言葉がここまで警戒されるのか。最後に全体をつなぎます。
最後は監督と罰則。
サブリース規制を所管するのは国土交通大臣よ。
登録制の賃貸住宅管理業と違って特定転貸事業者に登録制度はない――それでも監督は受けるの。
登録してないのに監督されるの? なんだか不思議…
行為規制だからではないでしょうか。
誰であれサブリース事業を行えば28条から32条の義務がかかる。
だから監督も及ぶ、と。
そのとおり。
手段はまず指示、そして業務停止命令。
特定転貸事業者には1年以内の期間を限って業務停止、勧誘者には1年以内の勧誘停止を命じることができるわ。
…勧誘者さんも、止められちゃうんだね。
ええ。
しかも国土交通大臣が指示や命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
社名が世に出るのは、事業者にとって相当に重い制裁よ。
加えて報告徴収と立入検査の権限もある。
業務の状況について報告を求め、営業所や事務所に立ち入って帳簿等を検査できるの。
逃げ場がないですね。
……先生、罰則はどうなっていますか。
あるわ。
特に重いのが不当な勧誘等の禁止違反で、6か月以下の拘禁刑(法改正前の懲役)又は50万円以下の罰金、あるいはその併科。誇大広告等の禁止違反のほうは30万円以下の罰金よ。
どちらも刑事罰まで用意されているということ。
…行政処分だけじゃないんだ。
それだけ本気ってことだね。
さあ、ここからが第4章の総仕上げ。借地借家法との関係よ。
ジャスミンさん、契約書に「家賃は減額しない」と書いてあれば、減額請求は封じられると思う?
え…契約書に書いてあるなら、そのとおりになるんじゃないの? 約束は約束じゃん?
…そこが罠だよ、ジャスミンちゃん。
借地借家法第32条は強行規定。
減額請求を封じる特約は無効で、特約があっても減額請求はできてしまう。
ええっ、書いてあっても無効!? じゃあ「家賃保証」って言葉、ほんとに危ないんだ…
だからこそ29条は、減額リスクを伏せる勧誘を禁じたの。
広告規制も、説明義務も、監督も――すべて一本につながっているわ。
…オーナーさんが「やっぱりやめたい」って解約するのは? それは自由にできるの?
できないの。
この契約でオーナーは賃貸人、サブリース業者が賃借人。
だからオーナーからの更新拒絶・解約の申入れには、借地借家法第28条の正当事由が必要になるわ。
借主として厚く保護されるのは、入居者ではなくサブリース業者のほう。
この立場の見え方こそ、サブリース分野の一番の急所ですね。
確認クイズ
サブリース規制の監督処分等および借地借家法との関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 国土交通大臣は、勧誘者に対して指示をすることはできるが、勧誘の停止を命ずることはできない。
- 国土交通大臣は、特定転貸事業者に対し、1年以内の期間を限り業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
- 「家賃を減額しない」旨の特約を定めれば、借地借家法第32条にもとづく減額請求を排除することができる。
- 国土交通大臣は、特定転貸事業者に指示や命令をした場合であっても、その旨を公表することはできない。
こたえを見る
正解: 2. 国土交通大臣は、特定転貸事業者に対し、1年以内の期間を限り業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
正解は選択肢2。選択肢1は誤りで、勧誘者に対しても1年以内の勧誘停止命令をすることができます。選択肢3も誤りで、借地借家法32条は強行規定であり、減額請求を排除する特約は無効です。選択肢4も誤りで、指示や命令をしたときはその旨を公表しなければなりません。