第5章の締めくくりは譲渡・転貸です。サブリースの理解にも直結する土台になります。
民法612条1項。
賃借人は賃貸人の承諾を得なければ、賃借権を譲り渡し、または賃借物を転貸することができません。
友達に又貸しするのもダメってこと?
承諾がなければダメ。
そして無断で第三者に使用収益させたときは、賃貸人は契約を解除できます (612条2項)。
うぅ〜ん…でも、事情によっては可哀想なこともありそう。
ましろさんの直感が判例と同じよ。背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は解除できない——最高裁がそう判示しています。
同居していた親族への名義変更のように、実質的に使用状況が変わらない場合ですね。
そういう事案が典型ね。
ここも結局は信頼関係が壊れたかどうか。
前回とつながるでしょう?
ほんとだ! 章の後半、ぜんぶ同じ考え方でできてるじゃん?
いい指摘ね。
では承諾を得た適法な転貸のケース。
民法613条1項により、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負うわ。
転貸借に基づく債務を、原賃貸借の賃借人の債務の範囲を限度として直接履行する義務ね。
しかも賃料の前払いをもって賃貸人に対抗できません。
転借人が転貸人に先払いしていても、賃貸人からの請求は拒めないの。
ふぇぇ〜、二重に払うことになっちゃうの?
ましろちゃん、そこは転貸人に返してもらう話。
賃貸人との関係では対抗できない、という整理だよ。
では最後。
原賃貸借が終わったら転借人はどうなるか。合意解除の場合、賃貸人はそれを転借人に対抗できません (613条3項本文)。
大家と借主が勝手に握手して、住んでる人だけ追い出すのは無しってことね!
そのとおり。
でも債務不履行による解除なら話は別。
原賃貸借が終了すれば転貸借も履行不能となって終了します。
ここが決定的な違いよ。
自分たちの都合で終わらせたのか、賃借人の落ち度で終わったのか。
区別が明快です。
確認クイズ
賃借権の譲渡および転貸に関する記述として、正しいものはどれか。
- 賃借人が賃貸人に無断で第三者に賃借物を使用収益させた場合、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があっても、賃貸人は常に契約を解除できる。
- 賃貸人の承諾を得て適法に転貸された場合、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う。
- 適法な転貸において、転借人は転貸人に対する賃料の前払いをもって賃貸人に対抗することができる。
- 原賃貸借が賃借人の賃料不払いにより解除された場合でも、転借人は転貸借を賃貸人に対抗することができる。
こたえを見る
正解: 2. 賃貸人の承諾を得て適法に転貸された場合、転借人は賃貸人に対して直接に義務を負う。
民法613条1項のとおり、適法な転貸では転借人は賃貸人に対して直接義務を負うため選択肢2が正しい記述です。選択肢1は誤りで、判例上、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できません。選択肢3も誤りで、転借人は賃料の前払いをもって賃貸人に対抗できません (613条1項後段)。選択肢4も誤りで、原賃貸借が債務不履行により解除された場合、転貸借も終了します。