普通借家では、賃貸人に正当事由がなければ契約は終わりません。そこで用意されたのが、期間満了で確実に終了する定期建物賃貸借です。
今日から借地借家法38条、定期建物賃貸借に入ります。
ひとことで言うと「更新がない建物賃貸借」ね。
更新なし!? じゃあ大家さんが「出てって」って言えば、正当事由とか関係なく出ていかなきゃダメってこと?
言い方は物騒だけど、結論はそう。
期間が満了すれば、それだけで終わる。
だからこそ法律は、成立のハードルをきちんと二つ置いたの。
一つ目が契約の方式ですね。公正証書等の書面によって契約する——ここでの「等」は、公正証書でなくてもよい、という趣旨だと理解しています。
ええ、そこは条文が公正証書を例示しているだけで、書面であればいいの。
賃貸人・賃借人の承諾があれば電磁的記録による契約も認められています。
うぅ〜ん…でも先生。
書面で契約したなら、そこに「更新しません」って書いてあるよね? もう一つの関門って、なんのためにあるの?
いい着眼点。
二つ目が事前説明義務。
契約の前に、賃貸人は契約書とは別個独立の書面を交付して、「この契約には更新がなく、期間の満了により終了する」と説明しなければならないの。
契約書に条項として盛り込むだけでは足りない、と。
判例も、契約書とは別個の書面であることを要する、としていますね。
えーっ、二度手間じゃん? 同じこと2回言うだけでしょ?
ましろは分かる気がする…。
分厚い契約書の中の一行って、読み飛ばしちゃうもん。
別の紙で「これは更新がありません」って渡されたら、さすがに気づくよね。
ましろさんの言うとおり、賃借人に自覚を持たせるための制度なの。
だから効果も厳しくてね——説明を欠くと、更新がない旨の定めは無効。
契約自体は生きたまま、普通借家として扱われます。
マジで!? 説明の紙一枚忘れただけで、更新される普通の契約になっちゃうの…。
それ、大家さん的にはかなり痛いね。
この説明書面についても、賃借人の承諾を得れば電磁的方法による提供が認められている、という理解で合っていますか。
合っています。
書面も電磁的方法も、承諾があれば可。
それと期間の話をひとつ——定期借家では1年未満の期間も有効に定められます。
普通借家なら期間の定めがないものとみなされる長さでもね。
よっしゃ、つながった! 半年だけの契約とかができるのは、定期借家だからってことか。
確認クイズ
定期建物賃貸借に関する記述として、正しいものはどれか。
- 契約は必ず公正証書によらなければ効力を生じない。
- 更新がない旨を契約書の条項に明記していれば、別途の説明書面の交付は不要である。
- 事前説明の書面を交付せずに説明を怠った場合、更新がない旨の定めは無効となり、普通借家として扱われる。
- 期間を1年未満とする定期建物賃貸借は、期間の定めがないものとみなされる。
こたえを見る
正解: 3. 事前説明の書面を交付せずに説明を怠った場合、更新がない旨の定めは無効となり、普通借家として扱われる。
説明書面を欠くと「更新がない」という定めだけが無効になり、契約自体は普通借家として存続します。選択肢1は誤りで、公正証書は例示にすぎず、書面(承諾があれば電磁的記録)であれば足ります。選択肢2も誤りで、説明書面は契約書とは別個独立の書面であることを要します。選択肢4も誤りで、定期借家では1年未満の期間も有効に定められます。