更新がないとはいえ、賃借人が満了日をうっかり忘れれば住まいを失いかねません。法はここに通知義務と中途解約権という二つの安全弁を置きました。
定期借家は期間満了で終わる。
でも、それを賃借人に主張するには終了通知が要る場合があります。
期間が1年以上のときね。
先生、質問があります。
通知にはいつからいつまで、という期間の縛りがありますよね。
期間満了の1年前から6か月前までの間。
この通知期間内に「期間の満了により終了する」と通知しないと、賃貸人は終了を賃借人に対抗できません。
対抗できない…って、うっかり忘れたら永久に終わらないってこと? それはさすがに大家さんかわいそうじゃん?
救済はあるわ。通知期間が過ぎてから通知した場合でも、その通知の日から6か月を経過すれば、終了を対抗できるようになります。
あ、遅れた分だけ待ちなさいね、っていうことなんだね。
えへへ、ちょっと優しい。
整理すると、通知を怠っても契約が更新されるわけではなく、終了を主張できる時期が後ろにずれるだけ——そういうことですね。
合っています。
更新がない契約であることは変わらない。
ここは混同しやすいから、真剣に押さえてね。
じゃあ逆に、借りてる側から途中でやめたいときは? 転勤とかあるじゃん。
それが中途解約の規定。
ただし条件が細かいの。居住用の建物で、床面積200㎡未満。
そのうえで転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難になったとき。
そう。
条件を満たせば賃借人から解約の申入れができ、申入れの日から1か月を経過すると契約は終了します。
しかもこの規定に反して賃借人に不利な特約は無効。
「中途解約を一切認めない」という特約を置いても、200㎡未満の居住用でやむを得ない事情があるなら、その特約は効かないわけですね。
うぅ…数字が多い。
1年以上、1年前〜6か月前、6か月、200㎡、1か月…頭こんがらがってきた。
焦らなくていいわ。
賃貸人側の数字と賃借人側の数字を、別の引き出しに入れて整理しましょう。
最後にもう一点——定期借家に更新はないけれど、当事者が合意すれば再契約はできます。
更新じゃなくて、新しく結び直すんだね。
ということは…再契約のときも、また書面と事前説明が要るってこと?
そこに気づけたら合格点。
再契約は新規契約だから、38条の要件を一からやり直しよ。
確認クイズ
床面積80㎡の居住用建物を、期間3年の定期建物賃貸借で借りているAが、転勤により生活の本拠として使用することが困難となった。正しいものはどれか。
- Aは解約の申入れをすることができ、申入れの日から1か月を経過することによって契約は終了する。
- Aは解約の申入れをすることができ、申入れの日から3か月を経過することによって契約は終了する。
- 定期借家には中途解約の規定がないため、Aは期間満了まで解約できない。
- 「中途解約を認めない」旨の特約があれば、その特約が優先しAは解約できない。
こたえを見る
正解: 1. Aは解約の申入れをすることができ、申入れの日から1か月を経過することによって契約は終了する。
居住用・床面積200㎡未満・やむを得ない事情という要件を満たすため、Aは解約を申し入れることができ、申入れの日から1か月の経過で終了します(借地借家法38条7項)。選択肢2は期間が誤りです。選択肢4も誤りで、この規定に反する賃借人に不利な特約は無効となります。