募集広告は入居者が最初に触れる情報です。だからこそ、その正確さは法で厳しく守られています。免許・報酬・表示、この三つの順に見ていきます。
入居者募集の話に入るわね。
まず前提。
賃貸住宅の貸借の媒介・代理を業として行うことは宅地建物取引業に当たり、免許が必要よ。
一方で、自ら貸主となって賃貸する行為は宅地建物取引業に当たらない、ですね。
そのとおり。
だからオーナーが自分の物件を自分で貸すのに免許は要らない。
サブリース業者が自ら転貸人として入居者に貸す場面も、同じく「自ら貸借」だから宅建業免許は不要なの。
へぇ〜、免許がいるのは仲介してくれる人だけなんだ。
次に媒介報酬。
これは上限が決まっています。居住用建物の賃貸借の媒介では、依頼者の承諾がなければ、依頼者の一方から受け取れるのは賃料の0.55か月分が上限。
そして双方から受け取る合計は賃料の1.1か月分以内。
いずれも消費税込みの数字ね。
承諾があれば、片方からもっといただけるんですか?
配分は変えられるわ。
ただし合計1.1か月分という枠は、承諾があっても動かないの。
しかもその承諾は、媒介の依頼を受けるにあたって得ておく必要があります。
契約が終わってから「実は」では遅い。
上限そのものは、あくまで合計で縛られていると。
ええ、それが原則よ。
ただ、2024年7月1日から例外が一つできたの。長期の空家等——1年を超えるような期間だれも住んでいない戸建ての空き家などね——の貸借の媒介では、貸主である依頼者から、原則の上限を超えて報酬を受け取れるようになったわ。
貸主・借主の合計で賃料の2.2か月分まで。
借主から受け取れる額は原則のままよ。
空き家を貸しやすくするための特例ってことか。
じゃあ、入居者を募集中のアパートの空き部屋にも使えるの?
使えないわ。
入居者を募集している賃貸集合住宅の空き室は、長期の空家等には当たらないの。
さて三つめ、広告の表示ルール。不動産の表示に関する公正競争規約という業界の自主規制ルールがあって、これが細かい。
筆頭はおとり広告の禁止よ。
おとり広告? それって、どんなやつ?
三つの類型で覚えて。
①実際には存在しない物件の広告、②存在はするが取引の対象となり得ない物件の広告、③存在し取引もできるが取引する意思がない物件の広告。
…「その物件はもう決まってしまって。
代わりにこちらはいかがですか」って言われるやつ…ですか?
まさにそれ。
契約済みの物件を客寄せに掲げ続けるのが典型です。
あとは徒歩所要時間。
これは道路距離80mにつき1分として計算し、1分未満の端数は切り上げます。
えっと…500mなら、80で割って6.25。
切り上げて7分! よっしゃ、これは得意かも!
正解よ。
信号待ちや坂道は考慮されないから、実際に歩くともう少しかかる。
そこも知っておくといいわ。
測り始める地点は、マンションやアパートなら建物の出入口よ。
「新築」の表示にも定義がありましたね。
建築工事完了後1年未満であって、居住の用に供されたことがないもの。
両方満たして初めて新築。
面積は畳1枚あたり1.62㎡以上の広さがある意味で用いる、といった決まりもあります。
細かいけれど、ここは素直に得点源にできるところよ。
確認クイズ
賃貸住宅の入居者募集広告等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分間を要するものとして算出し、1分未満の端数は1分として計算する
- 「新築」と表示できるのは、建築工事完了後1年未満であって、かつ居住の用に供されたことがないものに限られる
- 既に契約済みで取引することができない物件であっても、他の物件へ関心を誘引する目的で広告に掲載することは差し支えない
- 自ら貸主として賃貸住宅を賃貸する行為は、宅地建物取引業には当たらない
こたえを見る
正解: 3. 既に契約済みで取引することができない物件であっても、他の物件へ関心を誘引する目的で広告に掲載することは差し支えない
選択肢3はおとり広告そのものであり、不動産の表示に関する公正競争規約により禁止されています。取引の対象となり得ない物件を客寄せに掲載することは許されません。選択肢1・2は公正競争規約の定めどおりで適切です。選択肢4も適切で、自ら貸借は宅地建物取引業に当たらないため免許は不要です。