空室対策の本質は「値引き」ではなく「魅力の再設計」です。打ち手の引き出しを増やし、順番を間違えないことが収益を守ります。
半年空いている部屋があるとします。
あなたなら、まず何をする?
そんなの簡単じゃん! 家賃を下げる! 安ければ誰か来るでしょ?
手っ取り早いけれど、実は最後の手段なの。
賃料は収益の土台よ。
一度下げれば戻すのは難しいし、既存の入居者から「うちも下げて」と言われる。資産価値そのものが目減りするのよ。
であれば、賃料水準は維持したまま、敷金・礼金の見直しやフリーレントで初期費用の負担を軽くする方が合理的ですね。
フリーレント…最初の1か月分のお家賃が無料、みたいなものですか?
そう。
入居のハードルだけを下げて、賃料表示は保てる。
次は設備投資ね。
インターネット無料、宅配ボックス、オートロック、エアコン、独立洗面台、モニター付きインターホン。
宅配ボックス! それ、うちにも欲しい! 部活の帰りが遅いと、ぜんぜん受け取れないんだよね。
ふふ、それが生の需要というものよ。
設備は投資だから、費用と、それによって上がる賃料や埋まる速さを見比べて決めます。
リフォームとリノベーションは、どう違うのでしょうか。
リフォームは古くなった部分を修繕し、元の水準に戻すこと。
原状回復に近い発想ね。
リノベーションは新たな付加価値を加え、性能や用途そのものを高める大規模な改修。
間取りを変える、二部屋を一部屋にする、といった打ち手です。
…戻すのがリフォーム、作り変えるのがリノベーション。
それって、誰に住んでほしいかを決めてからじゃないと、できないですよね。
ましろさん、いま核心を突いたわ。ターゲット設定が先。
学生、単身社会人、ファミリー、高齢者、外国人。
誰に向けるかが決まれば、必要な設備も、広告を出す媒体も、内見の案内の仕方も自動的に決まっていくの。
あ、そういえば広告料って何? ADって呼ばれてるやつ。
実務で使われる言葉ね。
ただし宅建業法上、媒介報酬とは別に受け取れるのは、原則として依頼者の依頼によって行った広告の料金に相当する額に限られます。
報酬の上限規制を実質的に潜脱するような支払いは問題になりうる。
ここは慎重に扱って。
内見しやすい環境づくりも大切ですね。
共用部の清掃、照明、鍵の管理。
そして稼働率と空室率は裏表の関係です。
最後にこれだけは。稼働率が上がっても、賃料を下げすぎれば収入は増えない。
埋めることと稼ぐことは別。
空室対策は必ず収支とセットで考えなさい。
確認クイズ
空室対策に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- リノベーションとは、老朽化した部分を修繕して建築当初の水準に戻すことをいう
- 空室が発生した場合、他の対策に先立って賃料を引き下げることが最も合理的である
- フリーレントは、賃料水準を維持したまま入居者の初期費用負担を軽減する手法である
- 稼働率を高めることができれば、賃料の水準にかかわらず賃貸収入は必ず増加する
こたえを見る
正解: 3. フリーレントは、賃料水準を維持したまま入居者の初期費用負担を軽減する手法である
フリーレントは一定期間の賃料を無料とするもので、表示賃料を下げずに初期費用の負担感だけを軽減できます。選択肢1はリフォームの説明で、リノベーションは新たな付加価値を加えて性能・用途を高める改修を指します。選択肢2は誤りで、賃料の引下げは既存入居者や資産価値にも影響するため慎重に判断すべき最後の手段です。選択肢4も誤りで、賃料を下げすぎれば稼働率が上がっても収入は増えません。