サブリース規制の山場に入ります。うそをつくことだけでなく、「黙っていること」まで違法になるのが、この条文の怖さです。
第4章のはじまりね。
まずは法第29条第1号、不当な勧誘等の禁止。
禁じられるのは、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為よ。
うそをつくのがダメなのは分かるよ。
でも「告げない」だけでアウトなの? 黙ってるだけじゃん?
黙っていることも、しっかり規制の対象。
オーナーになろうとする人は、事業者が握っている情報を自力では知りようがないでしょう? だから不告知も不実告知も、どちらも禁止されているの。
先生、質問があります。
条文の「勧誘をするに際し」というのは、契約を結ばせる場面だけを指すのでしょうか。
いい着眼点。
条文は「締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため」と続くの。
入口だけでなく出口――オーナーが解約したいと言い出したときの引き止めトークも、まるごと対象よ。
うぅ〜ん…「やめたい」って言った人に、ほんとは違う金額なのに「今やめると違約金がすごいですよ」って言うのも、ダメってこと?
…ましろちゃん、それ、まさに典型例だと思う。
事実と違う違約金額を告げれば、不実告知そのものだよ。
ふふ、二人ともつかめているわね。
では「何を」告げなければいけないのか。
条文が言う重要な事項とは、相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもののことよ。
判断に影響…って、具体的にはどんなの?
代表格は家賃が減額されるリスク。借地借家法第32条によって、契約期間中でも借賃の減額を請求されうる――ここを伏せた勧誘が、いま一番問題視されているの。
「30年家賃保証」とうたいながら、減額請求の可能性だけ伏せておく。
それが不告知にあたるわけですね。
そのとおり。
ほかにも契約解除の条件、維持保全の実施方法、その費用の分担……オーナーの判断を左右する事柄はすべて含まれると考えて。
…でも、それって怖いことだよね。
何も知らないまま、何十年もの契約に署名しちゃうんだもん。
おお〜、あたし分かってきた気がする! ……あ、待って。
勧誘した人がサブリース業者じゃなかったら? 建設会社の営業さんとかは?
そこが最大のポイント。
第29条は特定転貸事業者だけでなく勧誘者にも適用されるのよ。
建設会社でも金融機関でも、勧誘を行わせられた者なら規制がかかるわ。
誇大広告等の禁止と同じ構図ですね。
28条・29条は勧誘者も名宛人。
ここは必ず問われます。
確認クイズ
賃貸住宅管理業法第29条第1号(不当な勧誘等の禁止)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 過失によって事実を告げなかった場合も、当然に本号違反となる。
- 禁止されるのは契約の締結の勧誘に際しての行為に限られ、契約の解除を妨げる場面は対象外である。
- 「重要な事項」には、契約期間中に借賃の減額請求を受ける可能性があることが含まれる。
- 本号は特定転貸事業者にのみ適用され、勧誘者には適用されない。
こたえを見る
正解: 3. 「重要な事項」には、契約期間中に借賃の減額請求を受ける可能性があることが含まれる。
正解は選択肢3。家賃減額のリスクは、オーナーになろうとする者の判断に決定的な影響を与える「重要な事項」の代表例です。選択肢1は誤りで、本号は「故意に」告げないことを要件としています。選択肢2も誤りで、条文は「その解除を妨げるため」の行為も明示的に対象としています。選択肢4も誤りで、第29条は勧誘者にも適用されます。