オーナーが一番守られなければならないのは、はんこを押す前の段階です。法第30条は、その「前」に書面での説明を義務づけました。
法第30条。
特定転貸事業者は特定賃貸借契約を締結しようとするとき、締結するまでに、賃貸人になろうとする者に対して書面を交付して説明しなければならない。
これが特定賃貸借契約重要事項説明よ。
説明する相手は…オーナーさんになる人、だよね? 入居者じゃなくて。
そう。
ここで守られるのは賃貸人になろうとする者。
転借人、つまり入居者ではないわ。
引っかけで出るところよ。
タイミングを確認させてください。
「締結するまでに」とありますが、契約当日に説明して即署名でも、形式上は満たすことになりますか。
形式上はね。
ただ国の解釈・運用の考え方は、説明から契約締結までに1週間程度の期間をおくことが望ましいとしているの。
オーナーに考える時間を確保させるためよ。
うぅ〜ん、その場で「はい、ここにサイン」って言われたら、ましろは絶対に考えられないもん…。
1週間あるとうれしいな。
ねぇ先生、説明する人に資格はいるの? 宅建士みたいな。
それがね、違うのよ。説明者に法定の資格要件はない。
ただし賃貸不動産経営管理士等、専門的な知識・経験を有する者が行うことが望ましいとされているわ。
…あ、それ私も混同しかけました。
宅建業法35条は宅建士が説明しなければ違法。
こちらは「望ましい」にとどまる、と。
マジで!? 資格なしでもいいんだ。
……でも、わざわざ「望ましい」って書いてあるってことは、試験ではそこを選ばせるやつだね!
察しがいいわね。
次は説明が不要な相手方。
プロが相手なら保護の必要が薄い、という発想よ。
列挙します。
特定転貸事業者、賃貸住宅管理業者、宅地建物取引業者、特定目的会社、組合、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社。
…みんな不動産のプロさんだね。
だから「説明しなくていい」の。
そういうこと。
もう一つ、ITを活用した説明も認められているわ。
書類と説明者の映像が視認でき、音声が明瞭に聞き取れることなどが条件。
対面必須ではないの。
オンラインでもOKかぁ。
じゃあ書面のほうは? 画面に映すだけでいいの?
書面はあらかじめ相手方に届いていることが前提。
ITでよいのは説明の方法であって、書面交付そのものが消えるわけではないのよ。
では、電話での説明はどうでしょうか。
契約の途中で家賃などの条件を変えることもあるはずです。
新規の契約の説明は、電話だけでは認められないわ。
ただし契約期間中や更新時の変更契約なら、説明するのは変更のあった事項で足りるし、事前に書面を送る・賃貸人から電話でと依頼がある・書面を見ながら聞ける状態を確かめる・説明後に理解を確かめる、という要件をすべて満たせば電話でも説明できるの。
管理受託契約と同じ扱いね。
確認クイズ
特定賃貸借契約の重要事項説明(法第30条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 説明は、特定賃貸借契約を締結した後、遅滞なく行えば足りる。
- 説明は賃貸不動産経営管理士が行わなければならないと法律で定められている。
- 相手方が宅地建物取引業者である場合には、重要事項説明を行う必要はない。
- 重要事項説明は対面で行わなければならず、ITを活用した説明は認められていない。
こたえを見る
正解: 3. 相手方が宅地建物取引業者である場合には、重要事項説明を行う必要はない。
正解は選択肢3。宅地建物取引業者のほか、特定転貸事業者・賃貸住宅管理業者・特定目的会社・組合・独立行政法人都市再生機構・地方住宅供給公社が相手方の場合は説明不要です。選択肢1は誤りで、説明は契約を締結するまでに行います。選択肢2も誤りで、説明者に法定の資格要件はなく、専門的知識・経験を有する者が行うことが「望ましい」とされるにとどまります。選択肢4も誤りで、ITを活用した説明も認められています。