30条と31条は、名前も中身も似ています。だからこそ「前か、後か」「兼ねられるか」を軸に整理しておくと崩れません。
法第31条、特定賃貸借契約締結時書面。
特定賃貸借契約を締結したときは、相手方に対して遅滞なく書面を交付しなければならない、と定められているわ。
えーっと…30条は契約する前で、31条は契約した後。
合ってる?
合っているよ。
30条は「締結するまでに」、31条は「締結したときに遅滞なく」。
番号の順番どおりだね。
整理どおり。
役割の違いも押さえて。
重要事項説明書は判断材料を与えるための書面。
締結時書面は契約の内容そのものを示す書面――決まった中身を証拠として残すためのものよ。
うぅ〜ん…でも、書いてあることはほとんど同じなんだよね?
記載事項は大きく重なるわ。
家賃、契約期間、維持保全の実施方法とその費用分担、契約の更新・解除、転貸の条件、損害賠償額の予定……。
それでも同じ書面ではないの。
先生、実務でこの二つを一枚にまとめてしまうことはできますか。
できないわ。重要事項説明書と締結時書面は兼ねられない。
目的が違う以上、それぞれ別個に交付が必要よ。
ちょっと待って。
じゃあ契約書は? そのうえ契約書まで別に作るの? 書類だらけじゃん…
そこは違うの。特定賃貸借標準契約書のように、法定の記載事項がすべて盛り込まれた契約書であれば、その契約書をもって締結時書面とすることができるわ。
えへへ、よかった。
書類が一つ減った。
…ましろちゃん、減ったというより、契約書が締結時書面を兼ねられるという話だよ。
記載事項が欠けていれば兼ねられない。
つむぎさんの補足が正確ね。
それともう一つ、相手方の承諾を得れば電磁的方法による提供も可能。
紙の交付に代えることができるわ。
メールでPDFを送るとかでもOKってこと? ……あ、でも勝手に送りつけたらダメで、承諾がいるんだね。
そのとおり、承諾が前提よ。
最後に名宛人の確認――30条も31条も、義務を負うのは特定転貸事業者だけ。
勧誘者に書面の交付義務はないの。
誇大広告と不当な勧誘は勧誘者にも及ぶ。
書面まわりは事業者のみ。
対比で覚えます。
確認クイズ
特定賃貸借契約締結時書面(法第31条)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 特定賃貸借契約を締結する前に交付しなければならない。
- 相手方の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法により提供することができる。
- 交付義務を負うのは、特定転貸事業者と勧誘者の両方である。
- 特定賃貸借標準契約書を用いた場合でも、契約書とは別に締結時書面を必ず交付しなければならない。
こたえを見る
正解: 2. 相手方の承諾を得れば、書面の交付に代えて電磁的方法により提供することができる。
正解は選択肢2。選択肢1は誤りで、締結時書面は契約を締結したときに遅滞なく交付します(締結前の交付は30条の重要事項説明書)。選択肢3も誤りで、書面の交付義務を負うのは特定転貸事業者のみです。選択肢4も誤りで、法定の記載事項を網羅した契約書であれば、その契約書をもって締結時書面とすることができます。